質問に答えるだけだが色々考える
音楽聴かれるんですね、何かおすすめはありますか?
そう訊ねられて、僕は身構えた。
事の次第はこうである。先日、とあるグループに新規メンバとして参加し始めたのだが、自己紹介のときに僕は趣味を音楽鑑賞とギターを弾くこと答えたのだ。その時は別段、趣味に対する質問らしい質問がさほどなかったので気を緩めていたのだが、少し時間が経ったあと、以前からグループに参加していたTさんが僕のところに来て一番上の質問をしたのだった。
音楽の趣味、これほど答えにくい質問もなかなかない。何を答えたかでその人の性癖が現れる。EXILEや湘南乃風と答えればマイルドヤンキー、KANA-BOONやKEYTALKなどと言えばサブカル系、平井堅や槇原敬之と答えれば……うん、つまりはそういうことだ。良い悪いの話ではなく、好きなアーティストを上げた時点で、ある程度他人から色眼鏡で見られることは避けられない。特に今回の場合は初対面の相手、下手なチョイスは今後の付き合いにも影響を与えかねず、慎重な対応が求められた。
幸い、Tさんは僕より少し年上の方で、世代的には少し被っている。なので牽制の意味を込めて「学生時代からBUMPが好きで」と答えた。僕らの世代でBUMPと云えば共通言語、音楽好きなら必ず通った道である。予想通り、TさんもBUMPを聴いていたようで、最近ではrayやButterflyを好んで聴いているとのことだった。
ありがとうBUMP、とりあえず掴みはOKだ。
しかし、質問はオススメのものである。BUMPを既に聴いているのだからこれには当てはまらない。次にRADWIMPSを上げたが、これも前前前世を聴いているとのことだった。「君の名は。」で知ったらしい。すげぇな、新海誠効果がこんなところにも現れてやがる。
次に米津玄師をおすすめすることにした。米津玄師と云えば今の10代20代の音楽的アイコンではあるが、Tさんは微妙に世代から離れている。予想通り、Tさんは米津玄師については知らなかった。BUMPやRADが好きならば米津玄師も気にいるはずと、僕は最後にTさんにそう伝えた。
聴いてみます、とTさんは答えた。
そして今日、再びTさんから話しかけられた。米津玄師を聴いてみましたとのこと。マジかよ、行動が早えなTさんや。幸いなことに、Tさんは米津玄師を気に入ったようで、彼のスマホには米津玄師の曲が何曲か入れられていた。アイネクライネやviviが気に入ったらしい。声が良いとのことだった。
単純な話ではあるが、自分がオススメしたものを気に入られるのは素直に嬉しい。その人と少し分かり合えた気持ちになるからだ。しかし当然、気に入られない可能性もあるので、そこは博打といえる。質問自体はシンプルだけれど、色々その人のパーソナリティを探って最善の答えを用意しなければならない。そこが難しい。音楽的嗜好はその人物の性癖とも云える。答える際は慎重に。
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